It's show time!

脚本:関根雅史(ブレーメン)
演出:林大介(かたつむり)

インポッシブル
少年少女
ガリバートンネル
トレンディエンジェル
メルヘン倶楽部
ブレーメン岡部

脚本も演出も演者も10期のみのチャレンジ公演。千秋楽を見に行きました。ゆるい感想です。

つぶれかけのサーカスを舞台にした、仲間の絆や家族をテーマにしたお話。すごくあたたかくて、見終わった後ニコニコしてしまうような素敵なお話でした。

主役は三須さん。ピエロとして、人前ではひょうひょうと理不尽なこともさらっと受け流してしょうがないじゃないですかって言えちゃうところと、父親としてどうして息子にとっていい父親になれないんだろうと悩む部分の差が、三須さんの本気なのかどうなのかわからない言い回しで表現してて、どちらも成立しててどちらにも無理がなくて、ぴったりでした。ちゃんとお父さんで素敵だったなぁ。
そんな三須さんの息子役に蛭川さん。全然10歳じゃないんですけど、だんだん子供に見えてくるのが不思議。「なんでうちは貧乏なんだよ!なんでうちのお父さんは普通じゃないんだよ!なんでうちのお父さんはピエロなんだよー!!」と叫ぶシーンにはぐっときました。また曲とあってて、いいシーンだったんですよね。楽では、一人遊びのシーンで坂口さんとたかしさんがいつまでたっても出てこず、心が折れる様をじっくり見せていただきました(笑)。お疲れ様です。
三須さんの奥さんで、蛭川さんのお母さん役に阿部さん。三須さんといちゃいちゃするシーンが可愛くって可愛くってニコニコしました。調子に乗る三須さんに、わざわざスポットから外れて放送禁止用語を投げかける部分を含めて(笑)。息子が母からの手紙を読み出すと、母が出てきて阿部さんの台詞になる演出で、阿部さんの淡々とした言い回しが逆に愛情を深く感じる台詞にしてて、切なくてたまらなかったです。
三須さんの同僚役で、岡部さんと井元さん。岡部さんの自由ぶりに乗っかったり振り回されたりの井元さん。本当に岡部さんが自由で!でもなんか許せちゃうのはなんなんでしょう。ずるいやー。岡部さんの謎ワードでたくさん笑ったんですけど、ひとつも覚えてません。これぞ岡部クオリティ。舞台の最初の方で、岡部さんと井元さんによる調教師とライオンのシーンには不安をかきたてられましたが*1、二人ともコンビネーションばっちりで楽しかったです。
息子の友達役で、坂口さんとたかしさん。楽だからなんでしょうけど、登場シーンのお二人の相撲を長々と見せられたときには不安をかきたてられましたが*2、かわいらしいお二人でした。最後、ポ ケ モ ンカードあげたりしてちゃんと仲直りするところがいいなーと思いました。好きなシーンのひとつです。
斉藤さんは、元ピエロのおじいちゃん役。なんであんなに面白いんだろう!岡部さんとは別のずるさ(笑)。もちろん演技はお上手なので、締めるとこは締めれたりして。ずるいずるい!最初、斉藤さんの口上から始まるのも好きでした。「It's show time!」という言葉とともに幕が開くあの感じ。わくわくしました。
サスケさんは、サーカスの社長役。私は、サスケさんの演技が好きみたいです。本当、無個性なんですけどね(笑)。ともすれば全然目立たないんですけど、脇にいる安心感を作れる上手さをお持ちのサスケさん。一発ギャグの時間はただただ地獄でしたが、うわつかない演技、好みでした。
メルヘン倶楽部のお二人は、サーカスのスポンサーの姉妹。イメージは叶 姉 妹(笑)。神保町では男役ばっかりだったから、こうやって元々のキャラのものを演じるのを見るのはなんか新鮮でした。そしてすごくよかったです。嫌味なんだけど、むかつくんだけど、なんか憎めない感じはたくちゃんのキャラにあっててとてもよかったです。あーやって本気でドレスアップすると、美人になるもんだなぁ。じっくり見てもちゃんと可愛かったです。特にくにちゃんは本当に美人さん。たくちゃんの三回の無駄な衣装替えも楽しかったです*3


関根さんの脚本は、ストレートで人間味のある素敵なお話でした。本をたくさん読まれてるだけあって、起承転結の流れがきっちりあり、見ててダレる部分もありませんでした。好きだなぁ。どちらかといえば、関根さんの頭はぶっとんでるイメージでしたので、こんなストレートなあったかい話を生み出すなんて!という感想です。ますます興味が湧きました。面白いなぁ。
林さんの演出は、舞台の使い方も音の入れ方も絶妙でよかったです。夫婦のシーンをスポットで対話にするとことか、最後のサーカスの部分とか好きでした。音楽も一貫性のある選曲でよかったなぁ。電グルの虹とかずるい!静かなシーンとテンションあげるシーン、聞かせるシーン、だんだん盛り上げるシーンの空気の作り方だったり、音の持っていき方が上手いんだろうなーとぼんやり思いました。本当にド器用な人だなぁ。


同期同士なだけあって、無茶ぶりやわちゃわちゃしたところもありましたが、全て含めていい舞台だったなぁ!となれました。みんなお互い大好きなのもよくわかりました(笑)。そういえば、蛭川さんが帽子を取ると藤 岡 弘にそっくりというノリがありまして、会場爆笑でしたが誰よりも林さんが笑ってました。会場に響き渡る演出家の笑い声。男の笑い声は大体芸人さんだったような。たくさん見に来られてたみたいでなによりです。

*1:実にカオスだった

*2:不思議なもんでズボンの食い込みを見てしまうもんですね

*3:楽屋裏ブログをどうぞ