「夢の中の君へ」

脚本：タピオカ
演出：あべこうじ

ゆったり感

クレオパトラ
エリートヤンキー
山田カントリー
林大介(かたつむり)
メルヘン倶楽部

バンブー

「今、恐怖しかないです」

素敵なお話でした。青春っていいよね。詳しいあらすじは神保町楽屋裏ブログご参照の上ということで。

江崎さんと中村さんが昔親友だったけど、ある日を境に決別してしまって…。この二人を軸に、プロレス同好会と敵対する総合格闘技同好会の話が進んでいくという流れでした。二人が親友に戻る過程が、たまらなく切なくて胸を締め付けられました。見た後、ああ見てよかったなぁってなれて。いいもの見ました。

江崎さんって本当太陽の子だなぁーって思いました。和人という役ががっつりハマってました。ヒーローである人柄やまっすぐなとこ、明るいムードメーカーなとこ、国友(中村さん)との友情に対して迷いがないこと、プロレスが好きなとこ…。全てに無理がなくて、キラキラしてました。国友と川原でプロレスするところは微笑ましくも切なくて、和人の笑顔が眩しいけど切なくて。「やっぱプロレス好きっしょ」はもれなく泣きポイントでした。それをさらりと言えちゃう江崎さんのポテンシャル！
中村さんの演技って、なんだろうなんかじわじわ来るんですよね(笑)。味なのかな。上手ではないですけど、自然体で。ひねくれてるけど秘めてるものは熱いっていうキャラが中村さんにあっていたのかもしれません。やってることはひどいし、過ちも犯してしまっているのだけど、なんだか国友が憎みきれないのは中村さんの力なのかなと思いました。マスクを被ってプロレスに復帰するシーンは本当にいいシーンでした。たまらない。

西島さんのSK2キャラがなんともいえず(笑)。本当に失礼な感想で申し訳ないのですが、西島さん演技上手くなりましたね…。手足が長いので、プロレスシーンが栄えていいなぁーと思いました。やっぱり華があるのだな。
橘さんはいい役でしたね。病室のシーンの橘さんがすごくよくって、泣きポイントのひとつでした。あそこで「せめて謝りましょうよ」って言えるのってすごい。和人と仲良くなっていく様子がかわいらしくて、ニコニコしてしまいました。またお二人が並ぶと小さいんだもの。

山田さんは「ジャッジ山田！」の他に言うことはないです(笑)。おいしいなぁ。
浅井さんはとにかくずるい！みんな浅井さんのこと好きすぎですよ！(笑)自由なポジションで楽しませてもらいました。

林さんは、役柄がメキシコ人でカタコトしゃべりって時点でずるいんですけど(笑)、それがとにかく自然でなんなんですかこの人のポテンシャル。病室のシーンで和人に話しかけるシーンでは、もれなく泣きポイントいただきました。それまでは自由でいっぱい笑いも取ってて、わーわーやってたのに声をしぼりだすように「…カズトサン？」って話しかけるのずるい！ギャップ！振り回されるこっちの身にもなっていただきたい！*1

桑原さんは部長なのに、なんか影が薄いところがぴったり(笑)。でも和人のことを一番信じてて、ドリームのことを一番考えてて。静かに信念を持って行動してるとこが伝わって素敵でした。
長谷川さんのリカちゃんキャラは程よくきもくて素晴らしいですね。OPで侍の格好で出てきたときはぐん！と期待値が上がったなぁ。ミステリアスな雰囲気があって、いいですよね。

クニちゃんは実は一番自由だったんじゃないかと思わないでもないです(笑)。冷血で感情がない感じがあってていいですね。ヒール役でしか見たことないですが、もっともっとがっつりのヒール役で見てみたいです。
たくちゃんはたくちゃんでしたね(笑)。しばらく「パンが食べたい♪」のメロディが頭から離れませんでした。恐ろしい。最後のスーツでオールバックは不意を突かれて、ちょっときゃってなりました。不覚。

諸々。
エリヤンのお二人と林さんで絡むシーンが楽しかったです。曲をかけて遠い目をする橘さんに「ドコミテンダヨ！」とつっこむ林さん。「オレハトメナイゾ！」と曲を止めない林さんに折れて曲を止める橘さん(笑)。メキシコくだりはどれも楽しかったなぁ。特に桑原さんが「国民性に問題があるメキシコ人とわかりあえるわけないだろ？」と淡々と訴えて「コクサイモンダイダ！ホウテイデアオウ！！」となるところとか大好きでした。
プロレスのシーンがスローモーションで表現されてて楽しかったです。せっかくだからもっと派手なのを見たかった気もしますけど、稽古期間が短いからしょうがないんでしょうね。
あべさんの演出はポップで丁寧で見やすいですね。曲がフジファブリック推しだったのはどなたの選曲なんだろう。

土曜昼のカーテンコールで、演者の半分が単独前夜祭に出演するにも関わらず終わった時間がすでに入り時間を越えてまして、「もうずっとしゃべってやろうかと思って」と中村さん。でも最後の方には「もう恐怖しかない」と本音をもらす中村さん(笑)。無事間に合ったんでしょうか。

*1:振り回されるのはこっちの問題ですけども